ひとつの時代の終焉

タイトルは大げさです。
今日、僕が今の店に移動してくる前に勤務していた、チェーン内唯一のコミック専門店*1が閉店した(予定通りなら)。僕が、大学時代の5年*2と、就職後の1年を過ごした店だ。感慨深い、というよりもただただ残念だ。
一時期はこのアニメ後進地域のオタクたちを一手に引き受けていたこともあった。しかし、結局のところ、中央の勢力に負けてしまった形だ。
アニメイトの進出によりCD、DVD、キャラクターグッズ部門がダメージを受け、廃止された。イオンの進出により、ファミリー客を奪われ、児童書が置けなくなった。ジュンク堂の進出により、マニア向けのコミックスを置いているだけでは存在意義を見出せなくなっていた。
もちろん、アッサリ負けたわけではなくて、中の人たちは血反吐を吐く思いでやっていた。でも勝てなかった。路線価で県内トップを争う土地に有っても2フロア合計80坪*3では小さすぎたということか。あるいはそれ以外にも原因があるだろうか。よくわからない。
いろいろ無茶なことをやっていたのを思い出す。これだけ狭い店舗なのに、電撃文庫全点*4揃えたフェアをやってみたりもした。ありえないほど豪華なゲスト*5を呼んで開催したイベントもやった。アニメイトオープンの日にあえてアニメイトの前でチラシを撒いたりした。まぁ、僕は末席にいただけなんだけど。
僕の書店員としての原点は、ほぼ全てがこの店にあった。一方、この店で一緒に働いた社員はほとんどが、転職などをし、残っていない。
チェーン内から、その独自性のあまり、「近くて遠い店」とも言わしめた店だったが、その魂は僕と共にある。なんとか受け継いでいきたいものだが、僕の資質、会社の方針、あるいは外的要素が、それを許さないかもしれない。それでも僕は学んだことを書店員として発揮していきたい。
いきたいけど、どうなるかもう全然分かりません。だって、目指す先に光など見えやしないんだもの。

*1:元はコミックと児童書の専門店

*2:恥ずかしながら留年しました

*3:コミックで使っていたのは最大時で60坪ほど

*4:当然、注文書に載っている=品切れ重版未定or絶版ではない範囲での全点

*5:夏目房之介須藤真澄出崎統金田朋子奥田ひとし