クローズアップ現代「ランキング依存が止まらない〜出版不況の裏側〜」感想

へこむ。とにかくへこむ。
一般の消費者がそこまで「ランキング」というものを意識しているとは、正直思っていなかった。ランキングを目安にすることはあっても、それだけを購入の理由にするのは少数だと信じていたのに。
途中に出てきた「ベストセラー本」しか買わない女性の発言もショッキング。「ランキング上位の本はたいてい面白いし、まちがいがない」。ある意味幸せな人なのかもしれません。僕(ら)は「売れているもの=面白いもの」ではないと感じてしまって、何とか面白いものを発掘しようとしている、残念な人なのかもしれない。
本屋大賞もとても残念なことになっているようだ。売上ランキングに左右されずに「面白い本を売る!」ということで始まったはずが、結局本屋大賞受賞作(1位)しか売れないという現象が起きているそうだ。つまり、新しいランキングを作っただけになってしまったらしい。へ、へこむ。
ちょっと気になったのは、POSデータの扱いの点。
ある大型店舗で全国ランク5000位以下の本は即返品をするという話題があって、それを受けて、「1日220点以上の新刊があって、5000位以下を返品するとすると、それ以外の本との出会いのチャンスを失っているのではないか」という発言があった。ここで5000位というのはおそらく「文芸書」のジャンルでの順位であって、220点というのは全ジャンルで、である。なぜ文芸書の順位と言えるかというと、僕も同じ端末を使って棚を作っているからだ。あの大きさの書店で、全体で5000位以下を返品ってことは、まず考えられない。だから、危惧されるよりはまだマシな状況であると思う。
また、僕自身はPOSデータをつかって抜き取りを判断するのは、「この本と、この本どっちを返品しよう?」と困ったときに使うことが多い。インタビューに答えていた書店員も言っていたが、あえて置く理由が無い場合に、「他の店でも売れてない」というのは切る理由に足る、と思う。必ずしも機械的に切っているわけではないと信じたい。
「面白いもの」を「売りたい」なぁ。