コミック文庫の存在意義

棚を圧縮しながらベスト版注文書を見ていると、常備すべきとされている点数の少なさに驚く。いままでは過去の名作のライブラリーとしての性格を重要視して品揃えを行ってきたが、見直さなければならないだろうか。『キャプテン翼』のファーストシリーズ(ワールドユース編以前)はベスト版からは外れている。また、坂田靖子の作品もひとつも入っていない。手塚治虫も『ブラックジャック』『鉄腕アトム』『どろろ』くらいなもので(角川書店は今回対象外なので『火の鳥』は残してある)、なんともいえない気分になる。
その一方で、雑誌に連載中の作品が、新書判、B6判と並行して文庫判としても発売され、売上げも好調だったりする。このような動きは、コミック文庫が廉価版的な扱いを受けているように見える。
最近、コミック文庫の立場を微妙にしている要因として、「完全版」と「ノーカバー版」の存在がある。過去の大ヒット作は「完全版」として再発売され、以前のコミックスよりも高い価格を設定されている。「完全版」は「保存版」としての役割も担っており、「(高くても)所有したい」人向けであって、以前コミック文庫が持っていたライブラリ的な役割を肩代りしつつある。「ノーカバー版」はコンビニ売り中心の、雑誌タイプのコミックスのことを指す。こちらの目的はより明確で、低価格であることを追求した作りになっている。また、重版されることや版元で在庫を持つことがあまりなく、売り切れたらそれまで、というのもノーカバー版の特徴。廉価版としての役割は大きいが、保存版としての役割は一切無い。
時間切れにてこれまで。もうちょっと書くかも。まぁ、今更な論ですけどね。